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夢の記録
※これは、今朝みた夢の話です
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深い森の中を歩いていた。
苔の匂いがして、湿った空気で、光は少ない。
現実と同じ色なのに、どこか時間だけが古い。緑が濃く、森の奥へ奥へと入っていくような場所だった。
気づくと、ひとりの男性と並んで歩いていた。
夢の中では山田孝之さんの姿をしていたけれど、誰かの顔を借りた「役柄」のような存在だったと思う。
私たちは自然に会話をしながら、森の中を歩いていた。
やがて、崩れた建物の跡に出た。壁も屋根もなく、吹き飛ばされたように朽ちていて、ただ骨組みだけが残っている。
私はそこを指さして言った。
「ここが、あなたが大学に通いながら住んでいた場所」
彼は意味が分からないという顔をした。へ? という表情で、まったく心当たりがないようだった。
だから私は、建物の中を歩きながら、ゆっくり説明した。
あなたはすごく頑張って、孤独に勉強して、まわりが遊んでいる中でもひとりで努力して、ちゃんと大学に入って、ちゃんと卒業したんだよ。本当にすごかったんだよ、と。
私は、彼が生きていた頃のことを知っていた。
彼は私のことを知らなかったけれど、私はずっと彼を見ていたような感覚があった。
遠くから、静かに、その人生を知っている側だった。
だから、その頑張りを、ちゃんと本人に伝えてあげたかった。
彼は最初きょとんとしていたけれど、少しずつ何かを思い出すような、理解が追いついてくるような顔に変わっていった。
そして私は、静かに続けた。
「卒業したあと、飛行機事故で、あなたは亡くなったの」
その瞬間、彼は両手で目を覆って泣き崩れた。
すべてを悟ったような、声にならない涙だった。
どうやら彼は、自分が亡くなったことを知らないまま、生きているつもりで過ごしていたらしい。
私は、その事実を伝えるために、この森に来たのだと、夢の中で自然に理解していた。
でも、不思議と悲しい感じはなかった。
やっと伝えられた、という静かな安堵のような空気だった。
私は彼に言った。
「ここで一緒に暮らそう。まずは片付けなきゃね」
散らばった瓦礫やゴミを拾いながら、またここで恋をしよう、二人でここで生きていこう、と話していた。
彼が生きていた頃、私は彼を知っていた。
でも知り合ったのは、彼が亡くなってから。
それでも恋をして、隣を歩いて、普通の恋人みたいに過ごしていた。
はたから見たら、きっと私はひとりで誰かと話している変な人だったのかもしれない。けれど夢の中では、それが当たり前で、それが自然で、それが幸せだった。
深い緑の森の中で、朽ちた建物を片付けながら、これからの暮らしの話をしている穏やかな時間だった。
目が覚めたあとも、怖さはなくて、一本の映画を観終わったみたいな余韻だけが残っていた。
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あとから少しだけ、夢について調べてみた。
夢研究では「夢に出てくる人物は、自分自身の一部を象徴することが多い」と言われているらしい。
Calvin Hall『The Meaning of Dreams』
また、夢は未処理の感情や記憶を整理する働きがあり、過去の出来事を“救済の物語”として再構成することがあるとも書かれている。
Ernest Hartmann『The Nature and Functions of Dreaming』
さらに、夢の中の「死」は不吉というより、区切りや再生、役目の終わりを象徴することがあるという見方もある。
Carl Jung『Man and His Symbols』
だから、あの夢も、誰かを失う話というより、何かをねぎらう話だったのかもしれないし、過去を切り捨てるのではなく、受け入れて一緒に生き直す物語だったのかもしれない。
もちろん、ただの夢かもしれない。意味なんてないのかもしれない。
それでも、あの深い緑の森と、「一緒に暮らそう」という自分の声だけが、やけにリアルに残っている。
忘れないうちに、ここに書いておく。
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自分にコードをつなげよう
My rhythm, my light
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