
母が台所に立っていた。生きていた頃とまったく同じ姿で、淡々と手を動かしていた。
そこへ、すっかり忘れていた友達が現れた。たぶんもう二度と会うことはない人。
その時ふと、「そういえばもらったパンがあったね」と口にした。
友達に出そうと思っていたパン。もらってから二、三週間は経っていた。
袋を開けると、驚くほどきれいなままで、カビひとつ生えていなかった。
「防腐剤ってすごいね」
そう言いながら、どこか怖さを感じた。人に出すもの――”与えるもの”が、時間を超えてそのまま残っている。腐らずに、ただそこにある。
母は台所で静かに動き続け、子どもたちはそばにいて、私はパンを前に、しばらく黙っていた。
そのとき感じたのは、過去に閉じ込めていた気持ちが、ようやく「形」をもって現れたという感覚だった。
あの友達に対しても、あげられなかった優しさや、言えなかった思い。それらが、防腐剤のように時を止めて、ずっと私の中に残っていたのだろう。
でももう、それを差し出す時期は過ぎた。
だからこそ今、夢の中で思い出し、ようやく”腐らず残っていたもの”を手放せたのかもしれない。
🍂 ハーベスト(Harvest)
「ハーベスト」とは”収穫”という意味。種をまき、育て、やがて実るまでの時間をあらわす。
腐らないパンの夢は、長い時間を経てなお残っていた感情の”収穫”だったのだと思う。
🌾 秋のハーベストのように、
与えられなかった思いも、
時を経て、自分の中で実ることがある。
🕯 夢の象徴
この夢は「他者とのつながり」と「心の収穫」を描いた、とても静かで深い夢です。
- パン = “分け与えるはずだった愛情”の象徴
- 母の台所 = “受け入れる場”
- 防腐剤 = “時間を止めていた感情”
夢全体が、“与えること”と”手放すこと”の両方を教えているようです。
✧━━━━━━━━━━━━━✧
自分にコードをつなげよう
My rhythm, my light
✧━━━━━━━━━━━━━✧

























