
「香り」が運んできた、遠い記憶とさよならの気配
今日はずっと、自分のまわりに”何かの香り”が漂っていた。
誰にもわからないかもしれない。でも、たしかに鼻先をかすめるたび、胸の奥のどこかが反応してしまうような──そんな匂いだった。
お風呂に入っても、外を歩いていても消えない。まるで、自分の中から立ちのぼっているみたいに。
ふと立ち止まったとき、風の流れにのって、その香りがふいに強くなる。
それは昔どこかで感じたような、けれど思い出せないような曖昧な記憶。でも、体の感覚だけはおぼえていて、「これ、知ってる」とどこかでつぶやいている。
あなただけが感じる香り
最初は、誰かの匂いがうつったのかと思った。でも、まわりを見ても、その正体が見つからない。
もし現実にその匂いの”もと”が見つからないなら、それはもしかしたら──あなたの内側から放たれた香りなのかもしれない。
あなただけが感じる、その匂い。
それはきっと、思い出すための合図。振り返るためのきっかけ。そして**「離れる」や「手放す」タイミングのサイン。**
使い終えたはずの記憶
楽しい思い出じゃない。どちらかというと、夜の空気に混じったタバコの煙のような、知らないうちにコートに染みついた都会の残り香のような。
自分の中に、長いこと眠っていた感情。使い終えたはずなのに、まだそばにいた記憶。
それが香りとして浮かび上がってきたのだと思った。
「ずっとここにいたよ」って、でも「もう行くね」って言ってるような──そんなやさしいお別れ。
思い出の意味を変える
思い出は、変えられない。でも、その意味なら、変えられる。
あのとき感じた痛みも、孤独も、今のわたしが見つけた小さな幸せの種になっている。
そう思えるようになったとき、その香りはもう、”ただの匂い”ではなくなる。
かつての自分にありがとうと伝えて、そっと、空へ返す。
そんな静かな手放しの時間だったのかもしれない。
過去がそっと離れていく日
結局、なんの匂いだったのかはわからない。
でも今日は、**「過去がそっと浮かび上がって、香りとともに離れていく日」**だった。
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自分にコードをつなげよう
My rhythm, my light
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