「今はこれだけで大丈夫です」と言えた日
先日、浴衣の着付けレッスンへ行ってきた。
帯結びを教えてもらっていたとき、先生が「他の結び方もやってみますか?」と声をかけてくれた。
私は自然に、「今は大丈夫です。」と答えた。
新しい結び方に興味がないわけじゃない。ただ、今はまずこの帯結びを自分でできるようになりたかった。帯結びはまだ練習中で、それより先に進む気になれなかった。
その日、今まで何度教わっても一人でできなかった帯締めの結び方を、ようやく自分でできるようになった。
あれ?私、変わったな、と思って。
昔の私だったら、せっかく教えてくださるんだから、断ったら悪いかな、そんな気持ちが先に立っていたと思う。本当は今のことだけで十分だったとしても、流れに合わせてしまっていた。
でも今回は違った。今はこれだけで大丈夫です、そう言えた。その一言で、自分のペースを守ることができた。そしてそのおかげで一つのことがちゃんと身についた。
帯締めを覚えられたことよりも、そのことの方が嬉しかった。
最初の8小節を完璧にしてから
考えてみると、昔からこういうタイプだった。
ダンスを始めた18歳の頃、先生から教わったことがある。最初の8小節の振り付けを完璧にしてから次へ進みなさい、と。最初に自信がないままだとずっと自信がないけど、頭の部分を完璧にすればあとは流れるように覚えられる、と。
それが私の体にすっかり染み込んでいた。まず一つ。それができてから次へ進みたい。そんな学び方をしてきた。
私にはダンスの先生が一人しかいない。18歳で出会った先生で、53歳になった今でも私のダンスの先生はこの先生です、と迷わず言える。
スポーツジムのダンスプログラムに参加したこともある。でもそれはレッスンを受けたというだけで、私の先生ではなかった。名前も顔も今ではほとんど覚えていない。
一方で、18歳で出会った先生との学びは、35年経った今でも私の中に残っている。
たくさんのものを広く学ぶより、一つのことを深く自分の中に育てていく方が安心する人なんだと思う。この人から学びたいと思えた人から、じっくり学びたい。それが私の学び方なんだと思う。
53歳の気づき
今回の浴衣のレッスンで気づいたのは、帯締めの結び方じゃなかった。
今はこれだけで大丈夫です、と自分の気持ちを素直に伝えられるようになっていたこと。自分に合った学び方を、自分で認められるようになっていたこと。
昔の私にはできなかったことだ。でも、あの頃の私が間違っていたわけじゃない。あの頃にいろいろな経験をしてきたからこそ、今の私がいる。
年齢を重ねるということは、何かができるようになることだけじゃなくて、自分に合った選び方を知って、それを素直に選べるようになること。
浴衣のレッスンが、そんなことを教えてくれた。
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自分にコードをつなげよう
My rhythm, my light
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