新曲「クロスSURU」制作の全記録
企画の背景と歌詞の着想
父を大学病院に連れていく車中での出来事が、この曲のすべての発端だった。
94歳の父が、長年運転していなかった状態から見る車窓の景色に、まるで子どもがはしゃぐように驚いていた。かつて自分が父の運転する車の助手席でワクワクしていた光景が、時を経て完全に逆転している。その状況に直面した。
日々の同居生活の中では、どうしても小さなイライラや摩擦が生まれる。でも、それをそのまま溜め込むのではなく、笑い話に変えていくこと、日々の出来事をライフスタイルとして面白く昇華させていくこと。それが自分のスタンスだ。
そして、この歌詞は私だけの話ではないと思っています。
親の送迎をするようになった人。
病院へ連れて行くようになった人。
今まで親が当たり前にできていたことを、少しずつ代わりにするようになった人。
手を引いて歩くこと。
受付を代わりにすること。
車の助手席に座る人と運転する人が、いつの間にか入れ替わっていること。
そんな日常の一コマを、この曲は切り取っています。
でも、この曲を悲しい歌にはしたくありませんでした。
人生の時間の流れの中で、役割が変わっていくこと。
もらったものを、今度は自分が渡していくこと。
そこには寂しさだけではなく、温かさや面白さ、そして新しい発見もあります。
もし今、親を送迎する車の中でこの曲を聴く人がいたら。
「ああ、こんな時間も悪くないな」と、少しでも感じてもらえたら嬉しいです。
これまで制作してきた楽曲は、亡くなった母を想う曲や、子どもたちとのことを書いた曲などがあった。そこに、父親や年齢を重ねること、人生の変遷を扱ったこのテーマが加わり、歌詞は一気に書き上げられた。
AI楽曲生成における試行錯誤
しかし、ここからが苦難の道のりだった。AIで理想の曲を作るプロセスが全くうまくいかず、これまでにないほど膨大なプロンプトを試した。繰り返し挑戦し、1ヶ月以上をかけて、ようやく「これだ」と思える曲が形になった。
最初は男性ボーカルで作っていたものを、アレンジで女性ボーカルに変更。ドラムとベースを取り入れたところから、楽曲の表情が劇的に変わり始めた。
最終的なアレンジでプロンプトに「House and techno fusion」を入れた瞬間、これまでにないほどの確信が訪れ、一気に楽曲が完成した。曲の長さは4:28。
当初のタイトルは「クロスする」だったが、宇宙的な広がりを感じる楽曲になったことから「クロスSURU」へ変更。さらに「SURU」という言葉が気になり、サブタイトルとしてSwitch / Unfold / Reconnect / Universeを設定した。
ここで「4:28」という数字が気になって検索してみたところ、「428Switch」というワードが浮上した。「Switch」は自分にとって非常に重要なテーマで、YouTubeを再開したときのテーマソング『When did you switch?』とも深く繋がっている。点と点がどんどん繋がっていった。
PV制作の方向転換
当初は、父と自分のイラストを使ったパラパラ漫画風のPVを想定していた。
しかし動画編集中に、文字のアニメーション機能で「うさぎが文字の上を歩く」というエフェクトを見つけた。月にうさぎがいること、そして自分にとってうさぎは亡くなった母の干支であること。ああ、母もこのビデオに出演したいんだな、と感じ、宇宙のうさぎが歌うPVへと方向転換した。
スマホ1台での編集という制約の中で悩んだものの、「Already自己確知(あるものだけでやる)」に立ち返り、手元にある素材だけで作り上げることにした。
Geminiが意図せず10秒ほどのうさぎの動画を生成してくれた。さらに幼い頃に父が乗っていた三菱自動車工業の「ギャランΣ」を切り絵・ちぎり絵風のイラストにしようとプロンプトを出したところ、昔の車が現代の車になり、最終的に宇宙船に変身して宇宙へ飛んでいく動画が偶然生成された。
この2つの動画と他の画像を組み合わせ、反転させたり、モノクロにしたり、歌詞の字幕で魅せたりしながら、「あるものだけ」で今回のPVを完成させた。
歌詞のブラッシュアップ
制作の過程で、「入れ替わった」という歌詞がどうも固く感じられ、翻訳してみると「Switch」になった。ここでもSwitchと繋がるのか、と強いシンクロニシティを感じた。
Bridge部分では最初「盗まれたオメガ」と入力したものの固有名詞が使えず、「盗まれた Oh mega」という表現を思いついた。オメガの腕時計という意味と、宇宙的なスケール(Mega)のダブルミーニングとして昇華させた。
完成した最終版の歌詞。
[Verse 1]
あなたの指に Bandage
たどり着けない場所へ
連れて行ってあげる
Switch Switch Switch[Pre-Chorus 1]
それなら私と行こう
あなたに私が合わそう
同じ言葉は何度も交わそう
私がもらったモノをあなたに[Chorus]
初めての道を走らせるあなたに
疑問を投げかけていた
今は私がハンドル握り
変わった街並みに
驚くあなたを乗せている
いつからか自然に Crossing[Verse 2]
あなたの足の Slow steps
手を引くようになると
戻るように思う
Switch Switch Switch[Pre-Chorus 2]
時経ち気持ちが変わり
予想は見えないふりして
同じ言葉に時にはイラつき
私がもらったコトをあなたに[Bridge]
盗まれた Oh mega
シルバーの大きな大きな腕時計
悔しくて泣いた
返してと叫んでも
返らぬものがあることを知った[Chorus]
初めての道を走らせるあなたに
疑問を投げかけていた
今は私がハンドル握り
変わった街並みに
驚くあなたを乗せている
いつからか自然に Crossed©kumaco
満月の夜、すべてが完成した
満月の昨日、すべてのピースがカチリと噛み合い、曲とPVが完成した。ほぼ寝ていないけれど、それだけのエネルギーが凝縮された作品になった。
自分が持っているもの、感じていたこと、Already自己確知。その名のままシンプルにあるもので、スマホ1台で全てが完成した。
宇宙の曲を作ろうとしたわけじゃない。父との出来事の曲で、母も思い出せる曲になり、父と母という宇宙から生まれた私の曲になった。それが何より嬉しい。
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自分にコードをつなげよう
My rhythm, my light
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