この日は息子も夏休みで家にいたので、家で動画を撮るのが難しかった。
それなら外で撮ろうと思って、兄を送った帰りに土手の公園へ行った。
朝早いし、人もほとんどいない公園。そんな中、突然「え、そこから人来る?」という草むらから、おばあさまが現れた。
思わず、「え、あそこに道あるんですか?」と聞いたら、
「私だけの道ね。」
と、さらっと一言。思わず笑ってしまった。
私は金髪坊主で、一人で動画を撮っている女だ。普通なら「ちょっと避けて通ろうかな」と思われても不思議じゃないのに、おばあさまは迷うことなく、ぐんぐん私の方へ歩いてくる。
あ、こっち来るわ、と思いながら「おはようございます」と挨拶をすると、おばあさまのお話が始まった。
「この前ここを散歩していたら、亀が歩いていたの。でも家族や知り合いに話しても誰も信じてくれなくてね。ボケたんじゃないかなんて言われちゃって。でも私は絶対に見たの。ここは川の近くだからいてもおかしくないでしょう?」
だから今日も、もしかしたらまた亀に会えるかもしれないと思って来たそうだ。
「昔はね、亀の上にまた亀が乗っかって、連なっているのもよく見たものよ。」
亀に会えたなんて、縁起が良さそうだな。そんなことを思いながら話を聞いていた。
すると最後に、おばあさまが笑いながらこう言った。
「亀に会えると思って来たら、あなたに会えた。」
「あなた、亀の遣いかもしれないね。」
思わず笑ってしまった。
帰り道、涙が出た。
そして思ったんだ。ああ、YouTubeを始めてよかったな、って。
たくさんの人に見てもらえているからじゃない。
動画を撮ろうと思って、あの時間に、あの公園へ行った。もし少し時間が違っていたら。もし家で撮っていたら。もしYouTubeを始めていなかったら。私はあのおばあさまと出会っていない。
人生って、こういう小さな出来事の積み重ねなんだなと思った。
何かを始めると、結果だけじゃなく、その途中でしか出会えない景色がある。
あの日の私にとって、それは「亀の遣い」と言われた朝だった。
動画には映らなかったけれど、この朝いちばん心に残った出来事だった。
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自分にコードをつなげよう
My rhythm, my light
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